FXでは「いわゆる自動売買」として「EA」を使用することができます。
海外FXではおもに取引プラットフォームとしてMT4(あるいはMT5)を採用しているので、自動売買はこのMT4を使って動かすものです。
一見むずかしそうな「EA」を使った取引方法ですが、初めて自動売買したときに感じたことはEAの動かし方自体は簡単でした。
しかし、勝てるEAを探すことのほうがむずかしいことなので、そのへん勉強していくことが必要です。
今回はFX初心者のための最低限のEAの知識を解説します。
このページの内容は、
MT4プラットフォームのEAの取引方法、
VPS(バーチャルプライベートサーバー)とはなにか?、
海外FXブローカーによってはVPSサービスがあるのでそれについての簡単な説明、
さらにおまけとしてEAについての注意喚起?がわかるようになっています。
EA(エキスパートアドバイザー)とは?

「EA」とはExpert Advisor(エキスパート アドバイザー)の略で、
ひとことでいうとプログラムによって自動売買トレードをすることです。
FXで「EA」といえば「自動売買」のことをいっています。
国内FXで自動売買といえばトラリピやトライオート、サイクル注文といった証券会社が主体でやっているものを指すことがありますが、
MT4 / MT5の取引プラットフォームがメインとなっている海外FXで「自動売買」といえば、MT4 / MT5上で「EA」を使用することを指します。
「EA」ってどうなの?「裁量」トレードとどっちがいい?

では、単刀直入に「EAってどうなの?」「裁量トレードとどっちがいい?」についてを考えてみます。
このことは多くの方が気になっていることだと思いますが、とてもむずかしい質問であり、
すべての投資・トレードにはそれぞれのスタイルがありますので、
トレーダーによるとしかいいようがありません。
EAを使ったトレードをするにせよ、そのEAの特性をよく知り、データを取って、相場によって優位性のあるところでのみEAを使用したり、切り替えたりといった工夫が必要になってきます。
結論をいうと聖杯と呼ばれるような「絶対に勝てるEA」なんてないです。
「ほったらかし」で儲けられるというものではないということ。
裁量トレードと同じようにEAはEAで勉強と経験が必要であり、
つまり裁量とEAどちらも大変です(←結論)
それでもこのページの次項からのことは「EAを使うことはないトレーダー」であっても知っておいて損はないです。
EAを使用するにしてもしっかりと過去の相場・今の相場でテストされたものを選ぶこと。
「MT4 / MT5」で「EA」を使用する際の確認事項!

まず、前提知識として「MT4 / MT5」と「EA」の仕様ですが、
「EA」はMT4(MT5)自体を閉じると機能しなくなります。
通常(裁量)のトレードであってもそうですが、MT4では「予約オーダー」や「保有ポジション」は「キャンセル」や「決済」をしないかぎりそのまま残ります。
MT4 / MT5の詳しい使い方はこちら:【MT5(MT4)の使い方】海外FXの「取引方法」を解説します!
自動トレーリングストップ(←含み益に対してストップを追いかける機能)も同様ですが、「MT4 / MT5」上で設定しておくものは「MT4 / MT5」のアプリ自体を落としてしまうと機能しなくなってしまいます。
それと「EA」を使用するうえで確認すべきこととして使うFXブローカーが「EA」を使用できるかを確認すること。
FXブローカーがEA(エキスパートアドバイザー)を使用できるか
MT4 / MT5を取引プラットフォームにしているXMTrading(以下XM)やExnessなど、代表的な海外FXブローカーではEAを使用できます(XMがそのEAと相性がいいかは別として)。
基本的にはMT4を採用している海外FXブローカーならばEAを使用できる場合がほとんどですが、マイナーな業者を含めるとかならず使えるともいいきれないので確認しておくことですね。それを知らずにじつは規約違反になっていたみたいなことがこわいですから。
国内FX・海外FX問わずに自動売買での発注ができない仕様となっていることもあります。
ちなみに大手国内FXでは独自アプリで取引することが一般的であり、その場合は自動売買自体を認めていません。
海外FXか国内FXかを関係なしに取引アプリが「MT4 / MT5」ではないオリジナルの場合、そもそもEA自体を使えないことがほとんどです。
EA(エキスパートアドバイザー)は「MT4」を閉じると機能しなくなる
保有ポジションと予約注文は、取引プラットフォームからログオフ・閉じた場合でもFX業者のシステムに保存されています。
オーダーとポジションは相手先のサーバーに届いて保存されているわけです。
それとは違って、トレーリングストップ(←含み益に対してストップを自動で追いかける機能)やEAは「MT4 / MT5」側で機能させるものなので、MT4 / MT5をログオフ・閉じると機能しなくなります。
この違いは理解しておかなくてはなりません。
MT4アプリが落ちていたり、パソコンやVPS(←次項で説明)のWindowsが勝手に再起動していたりすると、意図したとおりのポジションの保有・決済がされていなかったなんてこともあるので、EAであっても完全ほったらかしはできません。
トレード状況はまめに確認すること。
テスト・少額から検証していく
EAはいきなり大きなロットで動かすのではなく、かならず過去の相場と実際の相場でテストしたあと、リアル口座であっても少額ロットから試していき、様子をみながらロットを上げていきます。
VPS(バーチャルプライベートサーバー)とは?

本格的にEAを運用するのであれば、EAに最適な取引スピードと24時間オンラインに特化したVPS(バーチャルプライベートサーバー)を利用することになります。
本格派のEAトレーダーがVPSを使う理由をひとことでいうと、パソコンの電源をつけっぱなしにするのは効率が悪いからです。
パソコンは常時稼働することを前提にしていません。
そこで登場するVPSとは、パソコンの中身を外に借りるようなイメージです。
専門業者による回線速度と品質、24時間安定稼働というメリットから「VPS」を借りてEAを動かすということになります。
たまに趣味程度で軽くEAを動かすという場合にはパソコンでOKですが、
長期では電気コストがかかりパソコンへの高負荷によるフリーズといったトラブルもありますので、本格的にEAするなら安定環境のVPSを検討することになります。
VPSは月額で安くて1,000〜2,000円くらいですが、高スペックなプランを選ぶほど料金も上がります。
最近のVPSサービスではスマホアプリからVPSにアクセスしてEAの停止などコントロールできるところもあります。
どこの「VPS」サービスを使うのか?
どこのVPSを使うのか?もFXトレードとの相性・性能のよしわるしがあり、
ここでも「国内VPS業者」か「海外VPS業者」どっち?みたいな選択があります。
データセンターがどこにあるか、サーバースペックを重視するか、
あるいは国内のサービスで日本語サポートを受けられることを重視するかなど、
個人によって求める部分がかわってくるのでどこを使うべきかの答えはここでもありません。
国内で有名どころは「お名前.com デスクトップクラウド」と「ConoHa for Windows Server」で、どちらもGMOグループのサーバーです。
海外のものでEAトレーダーに言及されることが多いのはBeeks、Vultr、FXVMなど。
こだわるようになれば、接続遅延を少なくするためにVPSは利用するFXブローカーのサーバーと同じ地域にするということが基本となります。
FXブローカーによっては「VPS」サービスを提供している

FXブローカーによって(提携している)VPSサービスを提供していることがあります。
「XM」のVPSサービス
例としてXM(XMTrading)はVPSサービスを提供していて、条件を満たしていれば無料で利用することができます。
海外FXブローカーのVPSサービスは無料ですが条件があることがほとんどですね。
XMの条件とは、
最低5,000ドルの金額(ボーナスは除く・複数口座は合算して判定)を保有し、月に最低5(50万通貨)往復ロットの取引がある場合に、
会員ページからいつでも無料のMT4 / MT5 VPSを申し込めます。
これらの条件を満たさない場合であっても、手数料月額28ドルを支払うことによって申し込めます。
この手数料はXMの取引口座から毎月1日に自動的に引き落とされます。
XM公式ページ参照
申し込み方法は、対象のアカウント口座でXMにログインしてメニューからVPSをリクエストします。
※XMのVPSサービスは、VPS提供社のスペックごとのコースを選べません。

使うVPSは選べますが、海外FXブローカーにはこのようなサービスもあるということです。
「Exness」のVPSサービス
日本における海外FX人気といえばXMですが、もうひとつ世界ではトップクラスのFXブローカーのExnessもVPSサービスを利用できます。
こちらも利用条件はあって、500ドル以上の累計入金額と100ドル以上の余剰証拠金があること。
気になる人は条件を満たしたうえでExnessサポート(メールかライブチャット)に問い合わせてみましょう。アカウント1つにつきVPS1つのみの利用となります。
トレードスタイルに合ったFXブローカーを使うこと
同一のEAであってもその「EAのパフォーマンス」は使うFXブローカーによってかわってきます。
スプレッド、最大レバレッジ、チャート表示、約定レート・スピードはFXブローカーによって違うからです。
もちろん出金できなければ意味がないので、FXブローカーの信頼性など、スペックとして数値化できない定性的な部分も判断にくわえる必要があります。
XMは比較的、通貨ペア、ゴールド、US30含めてスイングに向いているFXブローカーであると考えています。短期トレードであっても使える有名ブローカーは、例としてExness、Tradeview、TTCM、Axioryが定番となっています。
どこのFXブローカーも一長一短がありEAを使うとなるととくに判断はむずかしくなります。
「MT4 / MT5」に「EA」を追加して取引する方法

現在、EAの標準ともいえる「MT4」でEAを追加して取引する方法を解説します。
MT5にしても設定の方法は同じです(下記で選択するファイル名は「MQL4ではなくMQL5」となる)。
EA(エキスパートアドバイザー)の追加方法
EAを追加するにはMT4を起動し、上部ウィンドウメニュー(一番左上)にある「ファイル」をクリック。
ドロップダウンメニューから「データフォルダを開く」をクリック。
開いたデータフォルダのなかの「MQL4」をクリック → そのなかの「Experts」をクリックして、
EAは「Experts」フォルダに追加します。
EAファイル(拡張子「.mq4」あるいは「.ex4」のファイル)を「Experts」フォルダ内に貼り付けてから、
MT4を再起動させます。
基本的に以上の手順となりますが、EAによってほかのフォルダにもファイルを置く場合もあるので、EA提供元の説明をよく確認すること。
自動インストール機能をそなえているものもあります。
EA(エキスパートアドバイザー)の取引方法
ウィンドウメニューの「表示」→「ナビゲータ」を表示して、

ナビゲータウィンドウ内にある「エキスパートアドバイザー(EA)」から対象のEAを選択して、適用させたいチャート上にドラッグします。
右クリックからチャートに追加、EAの削除もできます。

EAがチャートに適用されるとき、EAウィンドウが開くのでパラメーターを確認したら「OK」で準備は完了。
次項のことを確認します。
貼り付けた「EA」が取引しない場合に確認すること
- ウィンドウメニューの「ツール」→「オプション」→「エキスパートアドバイザー」タブ → 「自動売買を許可する」をチェック、「OK」をクリックして自動売買が許可されているのかを確認。
- メインツールバーの「自動売買」をクリックしてオンになっているのかを確認。
- チャート右上のEA名の横にスマイルマークが表示されているとEAが有効になっていることを示しています。
停止するときもメインツールバーの「自動売買」をクリックすると停止されます。
EAを停止したときに保有ポジションがあるとそのまま残ってしまいますので要確認。
MT5でのEA取引も同様に、
ウィンドウメニューの「ツール」 → 「オプション」 → 「エキスパートアドバイザ」タブ → 「アルゴリズム取引を許可」をチェックして取引が許可されているかを確認し、メインツールバーの「アルゴリズム取引」をクリックします。
それでもEAが取引しない場合にはターミナルウィンドウのエキスパートタブからログファイルを参照してどのようなエラーが発生しているのかがわかります。
EAの購入先やブローカーにサポートサービスが設けられている場合には問い合わせてみてもいいでしょう。
さいごに:悪質なEAにだまされないこと
悪質なEAや詐欺ツールにだまされないでください。
株式・為替の世界では今やシステムトレードはあたりまえの時代となっていますし、EAといったプログラム売買も前衛的なトレード手法であることは確かなところではありますが、
一部EA界隈では悪質なEAも多くでまわっていて、かならずしもクリーンな業界ではないのです。
とくにTwitterのDMやLINEなどクローズドな場所での勧誘には注意してください。
EAで勝てているトレーダーは実際にはいることでしょう。そのようなEAトレーダーは知識と経験がともなっており検証や切り替えがしっかりとできているトレーダーです。
勉強と失敗を繰り返しながら研究熱心なトレーダーが結果として勝っている。
お金もかければいいというわけではないと思います。
そして…
ほったらかしでいつでも誰でも簡単に勝てるEAなんて「ない」です。